大腿四頭筋の筋トレが高齢者に効果的な理由
大腿四頭筋とは?
大腿四頭筋は太ももの前面にある人体で一番大きな筋肉です。運動やダイエットにおいて重要な働き・機能を持っています。高齢者の歩行機能に関しても足を上げるパワーの源であったりと、重力に抗して活動する人にとって無くてはならない筋肉といっても良いでしょう。
大腿四頭筋は1つの筋肉の名前ではありません。と同じようにいくつかの筋肉の総称です。大腿四頭筋は、大腿直筋、内側広筋、中間広筋、外側広筋に分かれます。
この4つの筋肉は全て隣接していて、これらをまとめて大腿四頭筋と言います。
大腿四頭筋を触ってみよう
大腿四頭筋を触るのは簡単です。人の体を前から見たときに「ふともも」と言われる部分の中心部を指させば、そこが大腿四頭筋です。前ももとも言いますが膝への影響や、歩く際のクッション、筋出力を発揮する重要な筋肉です。
試しに右手のひらでパーを作り、右の前ももにまっすぐ置いてみてください。すると小指は外側広筋、薬指、中指は大腿直筋、人差し指は内側広筋を触れることになります。特に膝を屈曲(曲げた)させた状態で触れてみると、大腿四頭筋が収縮するので筋肉がわかりやすいと思います。
高齢者の方でも若年者でも筋肉の付き方は同じなので触ってみてトレーニング中に頭の中にイメージを持つこと。これが大切です。
大腿四頭筋の役割
股関節の屈曲
大腿四頭筋は上記にもありましたように股関節を屈曲させる働きがあります。足を曲げて階段に上る動作で特に重要となる筋肉です。
股関節の伸展
股関節を後方に伸ばす動作です。主に歩行に影響してきます。
膝関節の保護
高齢者の方で膝が痛くなる方は多いです。これは大腿四頭筋が硬くなることで膝関節に負担がかかっているからと言えます。本来筋肉は外部からの衝撃から身を守るための目的としても存在します。しかし筋肉が衰えてくると衝撃吸収がうまくできず、関節に衝撃が伝わり痛みが生じる。その中で膝に影響するのが大腿四頭筋ということです。
日常生活における作用
高齢者の日常生活においては使われる頻度は多く、また全身の筋肉の中でも特に重要な位置にあります。大腿四頭筋がどんな場面で使われるかを見ていきましょう。
座るときのスピードコントロール
座るときにドスンッと座ってしまう人は大腿四頭筋が弱い証拠です。大腿四頭筋を鍛えることで座るまでのスピードコントロールすることができます。あまりにもドスンッと座ってしまうとお尻を痛めることや、腰痛にも繋がるので注意しましょう。
立ち上がるときの踏ん張り
座った状態から立ち上がるときも大腿四頭筋は使われます。なかなか起き上がれない人は大腿四頭筋の筋力低下が考えられるのでしっかりトレーニングしましょう。
階段の上り下り
階段の上り下りにおいて大腿四頭筋が使われます。特に登るときの足を上げる動作は股関節の屈曲を。降りた時には体重を支え、膝への負担を緩和するために使われます。
自転車を漕ぐ
高齢者の中も自転車を使う人はいらっしゃると思います。実際に大腿四頭筋は自転車のペダルをぐっと踏み出す時に力を発揮します。最近は漕ぐ力が弱くなったと思う方はトレーニングをしていきましょう。
正座
正座ができるかできないかは大腿四頭筋が関係します。正座の体制は大腿四頭筋が引っ張られている状態です。筋力低下が起きると長時間の正座ができなくなることもあります。一つの指標として覚えておきましょう。
大腿四頭筋の特徴
人体で一番大きな筋肉
大腿四頭筋の1913㎠。お尻は864㎠、裏もも(ハムストリングス)は776㎠。これだけ人体で大きな筋肉であることがゆえにメリットもあります。
筋肉量を向上させるには大腿四頭筋をトレーニングするべし
人体で一番大きいので、筋肉量を増やすにはまずここから鍛えていくのがいいでしょう。特に人間の筋力低下になりやすい部位は下半身です。高齢者の方の足腰の低下もやはり関連してきます。
大腿四頭筋を鍛えることで足腰強化だけでなく、基礎代謝の向上、体温が高くなる、日常生活が楽になるという効果があります。
高齢者に効果的な大腿四頭筋のトレーニング
高齢者に効果的なトレーニング方法をご紹介します。ポイントは負荷を強くしすぎないということ。無理をしないこと。これらを考慮したうえで厳選しました。
レッグエクステンション
椅子を使った大腿四頭筋のトレーニング方法になります。椅子を使うことでより体制が安定するのでオススメです。ではやり方をみていきましょう。
1、椅子に座り両手で両端をつかみます
2、姿勢を正し、右足から膝をまっすぐ前に伸ばしましょう
3、右が終わったら左と交互に行います
4、膝を伸ばした時に1秒程度静止します(前ももが硬くなるのがわかります)
5、姿勢は崩さないように心がけましょう
レッグエクステンション応用
チューブを使ったトレーニング方法もあります。少し慣れてきた方はこのようにチューブの負荷を用いて同様に行ってみましょう。
椅子を使ったスクワット
大腿四頭筋はスクワットでも鍛えられます。椅子を使うことで骨盤が安定し、効果的でより安全にスクワットができます。
ではやり方をみていきましょう。
1 椅子に座った状態で胸で手を組みます
2 かかとに力を入れ立ち上がります
3 立ち上がるときの上半身の角度は45度を目安
4 立ち上がりまた座ります。座るときはゆっくりを意識しましょう
5 立ち上がるときに息を吐き、座るときに息を吸いましょう
自信のあるかたは応用スクワット
トレーニングにも慣れてきたら椅子を使わないスクワットも効果的でしょう。特にダンベルなどをもって行うスクワットは上級者レベルになるのであくまでも無理をしない範囲で行いましょう。
トレーニングの頻度、回数
週に3日の頻度
大腿四頭筋のトレーニング頻度や回数に関しては一般的なトレーニング理論と同様です。科学的には週に3回のトレーニングを推奨されています。これは筋肉がトレーニングによって筋繊維が損傷されることで回復に要する時間が必要だからです。筋繊維の損傷から回復期を超えたあたりに超回復期があります。このタイミングでまたトレーニングを行うことが大切です。
大腿四頭筋の回復時間は約48時間程度。しかしあくまで一般論であり、高齢者においてはケガのリスクを最大限防止するために負荷を低くすることを考えると1日置きでも構いません。
15回~30回を3セット
回数の考え方も一般的には筋肥大させる場合は8回~12回をギリギリ続けられる重さで行いますが、高齢者の場合はケガのリスクを考慮し20回~30回をギリギリでできる負荷を3セット繰り返しましょう。十分な効果が期待できます。
インターバルは1分
インターバルはセット間の休憩時間を意味します。休憩時間は長くても短くてもいけないものです。短い場合だと成長ホルモンの分泌量が少なくなることがわかっています。逆に長すぎる場合(5分以上)は筋繊維の損傷がうまく促されないことが多くインターバルは1分としましょう。
まとめ
高齢者の方の大腿四頭筋トレーニング特集でしたがこれからの日常生活における動作に深く関係してきます。人は困らないと取り組まないとよく言いますが、困る前に予防として取り組んで頂けたら幸いです。筋肉は唯一鍛えれば成長する器官です。初めは週に1回からでも継続することで動作改善に必ず繋がります。未来に希望を持ちしっかりトレーニングしていきましょう。
筋肉とは違い骨は強化することはできません。骨はすり減るだけ。サプリなども合わせていきましょう。筋肉と骨を同時に丈夫にしていきましょう。