高齢者の転倒防止に大殿筋の筋トレが効果的な理由
大殿筋トレーニングと転倒予防
高齢になるにつれて転倒しやすくなることがあります。これは筋肉量の低下であったり、反射機能の問題であったりと原因は多面に存在します。大殿筋は身体の中でも二番目に大きな筋肉です。この筋肉が衰えてくることで転倒に繋がることがあります。その理由とこれから行うべき大殿筋の転倒予防トレーニング方法をご紹介します。
転倒しやすい身体の状況について
まず、下半身全体の筋肉が弱っていると転倒しやすくなります。イメージしてみると足が弱っている方は歩くときに足先が上がらず、擦り足になるような感じになります。階段の上り下りも手すりがないと難しい。または上るのに時間がかかる。
転倒予防には支える筋肉も必要
転倒予防のために重要なのは、重力に抗して足を持ち上げる筋肉だけではありません。足を持ち上げる代表的な筋肉は腸腰筋です。腸腰筋もとても大切な筋肉であると言えます。腸腰筋の紹介はこちらで取り上げています。https://sniortraining.hatenadiary.jp/entry/2018/05/25/113433
実は、支える方の足の筋肉がかなり重要です。足を上げるための筋肉は足の重みを持ち上げれば良いだけなので、少し筋力が弱っていても足を上げることはできますが、支える方の足は何十キロもある体重を支えなければなりません。特に歩行や階段の上り下りでは一瞬片足に全体重がかかるような動きになります。この時に活躍するのが大殿筋です。
大殿筋の役割
身体を支える
上半身が前に倒れないようにするための股関節の働きを『伸展運動』と言います。股関節は、静止して立っているだけでも総体重の70%もの上半身の重さを支えています。この強力な伸展運動をサポートしているのが大殿筋。
大殿筋が弱くなると股関節の伸展力も低下してしまい、上半身が前に倒れ、前屈のみの姿勢になってしまいます。よく高齢者の方でも前傾になる姿勢がありますよね。こうなると歩くことや立つことも難しくなることがあります。
股関節を守る働き
日頃の生活動作の負荷、歩く、起き上がる、座るなどは全て股関節に衝撃が伝わります。そしてその股関節周りに付着している筋肉が大殿筋です。大殿筋は股関節の衝撃を緩和するためのクッション代わりにもなります。
また階段の上り下りなどで、足を内側に向けて歩かれる方も多いと思います。これは大殿筋の動作である内旋というものです。つまり大殿筋をしっかり鍛えることで階段の上り下りや歩行を楽にできるようにします。
しかし運動不足で大殿筋が衰えると膝の関節にも負担がかかり場合によっては膝を痛める可能性もあります。
バランスをとる
身体を左右に傾けずに水平に維持しするのは大殿筋の役割です。大殿筋をしっかり強化することで、股関節での直立保持能力がアップし全身の安定性を高めます。大殿筋が弱くなると、水平に保つこと、身体を横に傾けることが難しくなります。この状態で横に傾いていくことでうまくバランスが取れず転倒に繋がることがあります。
高齢者でもできる大殿筋トレーニング
ヒップリフト
ヒップリフトは寝ながらできるトレーニングなので初心者の方でもできると思います。
やり方
1 仰向けに寝ます
2 両手を床に置き、膝を90度に曲げます
3 お尻を上に持ち上げていきます
4 2秒かけて持ち上げ、2秒かけて下ろしていきます
5 10回を目安に行いましょう
ヒップアダクション
続いて横に寝ながら行うトレーニングです。お尻の外側を鍛えていきます。特に左右のバランスをとるために重要なトレーニングなので取り入れていきましょう。
やり方
1 肘をついて横向きに寝ます
2 両足を揃え、上側の足を垂直に持ち上げます
3 2秒かけて持ち上げ2秒かけて下げます
4 膝は伸ばしたままが理想です
5 10回終わったら反対の足も同様に行います
少し難しく感じる方は多少膝が曲がっても問題はありません。完璧にやろうとすることよりもまずはやってみよう。という気持ちがなにより大切です。
レッグレイズ
うつ伏せで行う大殿筋トレーニングです。マットや布団のような柔らかい素材の上で行うと苦しくないのでオススメです。
やり方
1 うつ伏せに寝ます
2 膝を伸ばしたまま上げられる高さまで足を上げましょう
3 上げたところで1秒キープ
4 10回繰り返したら反対も同様に行います
まとめ
大殿筋は自分の体重を支える重要な筋肉であることがわかりました。また鍛え方も様々な角度から刺激を加えることでより効率的に鍛えることができます。そして今回のポイントは転倒防止。
骨盤がしっかり安定し、左右のバランスを支えるのは全て大殿筋です。転倒して骨折など起こさないよう今のうちから鍛えておきましょう。いきなり全種目をやる必要はありません。1種目からでもいいのでトライしてみてください。
股関節に不安のある方などはサポーターを巻いて安定した状態を保ちながら行うこともおすすめです。自分にあった無理のない範囲で行いましょう。